16 :本当にあった怖い名無し:2010/03/25(木) 00:07:11 ID:DPDXOqQS0 
物凄い怖気を全身に感じながらも「ほう、これが本家の祀ってる神様の御姿か」などと 
Aさんが思っていると、球体の注連縄の隙間から黒い液体のようなものが漏れ出し 
それが影のように延びてきて、取りすがろうと当主に近づき始めた。 
その影は当主から一定の距離のところでまで近づいたところで、まるでそこに見えない壁が 
あるかのように全く近づけないようになった。 

その時Aさんは気付いてしまった。 
あれが何故当主に近づくことが出来ないのか?当主には邪なものは近づけない・・・ 
つまり、あれは神様などではない。 
そのことに気付いた時、我が身に感じていた怖気が急に強くなった気がした。 
全身の毛が逆立つかのような悪寒が体を駆け抜ける。 
「見つかった!」 
Aさんが確信したと同時に影のようなモノがゆるゆるとこちらに向かって動き始めた。 
それはゆっくりとだが確実にこちらに近づいて来る。 
しばらくしてその影が膝先にまでに到達した瞬間、目の前が真っ暗になった。 
それと同時に両目、両耳、鼻に激痛が走った。 
赤熱するまで熱した鉄の棒を両目、両耳、鼻の穴に突き刺したらかくやというほどの痛みだった。 
多分あまりの激痛に絶叫していた。 
その激痛のさなか、ほかの感覚など消し飛んでいるはずが、触覚などないはずの脳を直接手で 
まさぐられるかのような感覚があり、それと呼応するかのように引付けでも起こしたように 
体が痙攣しているのを感じたという。 

激痛に苛まれ、徐々に薄らぐ意識の中で、声が聞こえた。 

「イッポン・・・ツナガッタ」 

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17 :本当にあった怖い名無し:2010/03/25(木) 00:07:56 ID:DPDXOqQS0 
次にAさんが気付いた時には、夜は明けており右腕にギプスをされ病院のベッドにいた。 
医者からは、石段から足を踏み外して転んで右腕を骨折し、その拍子に頭も打ったらしいので 
一応CTを撮ったが、問題ないようなので退院しても大丈夫だと言われたので 
Aさんは、仕事が終る時間を見計らって、本家の当主の下に顛末を聞きにいった。 

その時に聞いた話をかいつまんで書くと以下のようなものだった。 

・第三者から見たとき自分の身に何が起こっていたのか? 
⇒Aが突然絶叫して、正座した姿勢のまま痙攣をはじめ、暫くして右腕を上げたかと思ったら 
右腕だけを無茶苦茶に振り回し始めた。 
その後、右腕の動きがピタリと止んだと思ったら、関節の可動する反対方向に腕が捻じ曲がって 
嫌な音を立ててへし折れ、また全身痙攣を始めた。 
その間、当主は祝詞を読みあげ続けており、祝詞を読み終わると同時にAの痙攣は止まった。 
その後、Aさんの父に抱えられるように病院に運ばれた。 

・黒い球体のようなものは何だったのか? 
⇒本家が代々封じ続けているもの。正体はわからないが、それは非常に力を持っており 
その力の一端に触れた者は、治癒不可能な心身喪失状態に陥る 
それは祟り神などと違って対象は無差別で、ただそこに存在するというだけで人を狂わせる 
影響範囲は広範で、少なくともZ神社がある町を中心にその周囲の町にも及ぶ 

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18 :本当にあった怖い名無し:2010/03/25(木) 00:08:40 ID:DPDXOqQS0 
・いつからそれを封じているのか? 
⇒少なくとも1500年以上前から封じている。 
元々、人の住めない呪われた土地とされていたが、良質の鉱山があることがわかり 
時の朝廷は土地開発を進めようとしたが、例の被害が多発した。 
そこで中央から力を持った一柱の神と巫覡の一族を遣わし、それを封じることにした。 
(そんな土地さっさと放棄して別の鉱山を探せば良いのにと思うかもしれないが、 
その当時製銅、製鉄というものは、国力を左右するほど重要で、しかもその土地は 
とある理由で好立地だったため放棄するにはあまりに惜しかったからだと聞いている) 
封を担った巫覡の一族はその土地に腰を落ち着け、代々その封を司るようになった。 
時は流れてZ神社は戦乱で消失し、その後長きに渡って本家が封じるための儀式だけは 
行っていたが、長らく神社が無かったことの影響か、大正期に被害が出るようになった。 
そこZ神社を再建して封を強化して今に至っている。 

・それは完全に封印は出来るか? 
⇒わからないが、儀式をした際に黒い球状のものに巻かれた注連縄が増えることがある。 
その注連縄が完全に球を覆い隠した時に封印は完全なものになるかも知れない。 

・ここ以外にもそういう土地はあるのか? 
⇒極少数だろうが存在すると思われる。次代が國學院に通ってた頃、自分と似たように強力に 
加護を受けていると思しき生徒がいたそうだ。多分もその生徒の一族も何か厄介なものを封じる 
ためにそのような加護を受けているのではないか? 

・何故自分は心身喪失状態にならずに済んだのか? 
⇒分家とは言え一族の血を引いていることによるものか、それとも100年以上ぶりに触れた人間 
ということで、人について何かを探ろうとして壊れないように細心の注意を払って 
扱ってくれただけなのかわからない。運が良かったとしか言えない。 

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19 :本当にあった怖い名無し:2010/03/25(木) 00:09:27 ID:DPDXOqQS0 
Aさんは、一通り話し終えてから、 
「とまぁこんな眉唾な話だから信じる必要はないけど、ただそれのせいで知っての通り 
私の右腕は今も動かないままなんだ。」 
「骨折自体はとうの昔に完治して未だにリハビリを続けてるが、全く動く気配がない。 
思うにアレが「イッポン・・・ツナガッタ」って言ったのは、腕一本繋がったって言う 
意味だったんだろうと思う。だからこの右腕を動かすことができるのはアレだけで、 
もし、仮に封が弱まることがあれば私の意志とは無関係に動きだすんじゃないかと思ってる。」 
「本家の人たちが封を強化してるから、私が生きてる間には間違ってもそんなことは 
起きないと思うけどね。」と笑いながら話していた。 

この話を聞いて、自分には完全に眉唾とも思えない心当たりがあったりする。 
例の本家の人間なんだが、一族皆人格者ばかりだからというのもあるんだろうが、地元では 
物凄く信頼されており、何があっても失礼をしてはいけないと婆さんから良く聞かされていた。 
小学校の時、それぞれ別の友人グループだったんで接点はなかったが、本家の長男(Bとする) 
と同級生だった。 
6年生の時、余所から転校してきたヤツ(Cとする)がいたんだが、そいつがことあるごとに 
Bに突っかかるようになったらしい。Bは性格が良くて周りからの人気があったから 
(顔がイケメンの部類だったのもあるかも知れないが)それが気に食わなかったのかも知れない。 
ある時、Cの家に雷が落ちて全焼し、両親は無事だったが、Cが亡くなったと 
全校集会で校長から聞かされた。 
後で知ったんだが、その前日、CはBを痛めつけようとして、階段から突き落としたらしいんだな。武道の心得もあってか幸いBは軽い捻挫程度で済んだらし い。 
そのCが住んでいた借家の場所はウチからチャリで3分程度の近所なんだが、そこの地主の爺さん 
が雷の話を聞いてビビったらしく駐車場とかにもせず今も更地のままなんだ。 
このBの話を思い出した時心底寒気がした。雷は偶然だと思いたいが・・・ 

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